社会人になるということ2011年2月22日

 

Cherry blossoms

社会人になるということ

自らの将来は入学と共に決定していると勘違いする学生を見かけることがあります。学部学科にとらわれるあまり、選択の余地を狭くしている学生は多いようですが、少しもったいないことだと感じています。

例えば薬学部の学生に将来の方向性を尋ねると「当然薬剤師になって調剤をします」と自信たっぷりに答えます。そんな学生達に、晴れて薬剤師となった未来像を想像してもらうと、調剤をしている姿について実に生き生きと紹介してくれます。さらに、薬剤師としてどのようなスキルが必要かという問いに対しては「薬剤師の国家試験に受かって免許を取ることです!」と迷いなく応えます。ところが、その他に必要なものはという問いに対して答えを持っている学生はとても少ないように思います。確かに免許は必須条件でありますが免許を取得すればそれでよいというものではありません。薬品という命に関わる品を扱う以上、他者との信頼関係を構築する能力が問われてきます。社会人として働いていく場合、一般のお客様と接する機会も意外に多いものです。

薬剤師に限らず、専門職として活躍するためには、より高度な専門知識を確実にもつことは非常に重要なことです。同時に、他者と信頼関係が構築できる人間性を養うことも重要なことなのです。気の合う仲間とだけ付き合うことが許された学生時代とは異なり、自分の立場をよくわきまえたうえで多くの他者との人間関係を良好に保つ努力をしなければなりません。社会人になる前に、人間として成長することの必要性を忘れないでいたいものです。